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データ1.琴藁苑蘭
黄色いヘッドフォン
青いフード付きパーカー
黒髪セミロング、右側に赤いヘアピン


《そして朝》

かたん、と目の前に誰かが座った。そりぁ、ここは食堂でありここのスペースは私専用なわけじゃあないのでそれは当たり前のことなのだ。だから、特に気にすることなく私はウィンドウで学園情報を見ながらサンドイッチを食べていた。
「琴藁苑蘭」
その名を呼ばれるまでは。
「話がある。」
目の前には、昨日のスナイパー、遠藤がいた。はっきり言おう。逃げたかった。
「………………はい。」
敬語で答えてしまった。無表情怖い。ここは学食なのに銃をかかえてるということには問題ない。私が昨日会った人は日替わりで様々な武器を持つ人だったから、銃ぐらいで怖気ついたりなどしない。
「あいつについて、色々聞きたい」
とりあえず食べかけのサンドイッチを置いて、数十秒後に私は答えた。
「………………あいつって……薫?」
「他に誰がいる?」
ああ、そう、うん……。あいつの名前を知らないわけがないんだから、ちゃんと名前で言えばいいものを…。
「まず最初に、あいつは生徒会員ではないな?」
「間違いなく疑いようもなく当たり前に。」
「……一言でいいだろうそれは…」
もっと言いたいぐらいです。あいつが生徒会員なんてことあったら世も末ですよ。遠藤はその答えに顔をしかめながらも、なぜだか、あぁ、やっぱり、とうなづいていた。なんだ、それぐらい知ってるだろう。あいつの名とともに語られる武勇伝は生徒会メンバーでないのにいつも生徒会室にいるというこなんだから。
「じゃあ、なぜあいつは力を持っている?」
ちょっと一瞬意識があいつの過去の武勇伝に傾いていたのと、ただ単純にその質問に驚かされたので、私は暫く返事をできなかった。力、とは、昨日この人の銃弾を私の脳みそ一歩手前で止まったことを言っているに違いない。そして、その力を使ったのはあの薫、と考えるのが普通だ。ふと、相手の顔をよく見る。これはもうきっとこういう顔なのだろうもいう無表情さと、薄く開いた目。あぁ、これは嘘なんてついたところですぐにバレるんだろうなぁ。直感的に私は思った。だから、正直に言うことにした。
「知らない。」
沈黙。
「なにその疑いの目は……。嘘かどうかわかるでしょうに……」
「……確かに、嘘はついてないみたいだが。じゃあなんだ?あいつは〝例外〟だとでも?」
「まさか。」
力を所有できるのは、生徒会と委員部隊隊長のみ。それに、〝例外〟など存在しない。決して。
「……どっかの委員部隊隊長なんてわけもないよな……」
「だから知らないって。」
あの力は以前何度かあいつに見せてもらったことがあるが、なにによって得た力なのかは決して教えてはくれなかった。わけがわからない。
「……わたしはそれよりも、再生できるとはいえ脳みそ狙ってくる君のほうが分からんのだけど……」
「お前が変に避けるからだ。俺は肩狙った。それに余計な自己再生能力が発動されるような傷害は禁止されてるだろうが。」
なんか難しく言ってるけどつまり〝勝手に自己再生される〟能力は〝再生をやりすぎると危険〟だから〝必要以上の再生を防ぐ〟ために〝戦闘内において致命傷となりうる部位の攻撃〟は禁止されていると言いたいんだよね、よし理解。
「それはそうだけれど。」
「俺の話はそれだけだ。……邪魔したな」
「ちょっ……」
思わず呼び止めて、相手がなんだよとでも言いたげにこちらを振り向いた。いやいや、突然現れて聞きたいことだけ聞いて帰って行くって。とりあえずこちらだってききたいことがあるのだ。
「……え、と。その、能力のことは誰かに言った?」
「……俺は言ってない」
なるほど。それはよかった。確か能力のことは、生徒会と私しか知らない事実だ。えーちゃん他のひとには秘密だよ!と謎のウィンク付きで言われた。そういえばなんであいつは私には言ったのだろう。…………ん?
「俺〝は〟?」
「ああ、俺は。」
………………あぁ。
すぐ察した。そういえばあの場所に、まだ誰かしら居たわぁ……。
「どこまで通じてるのその話……」
「一般生徒はまだだと思うが、少なくとも委員のトップにはもう知れ渡ってるだろうな。なんせあいつらは」
そこで、遠藤はちらり、と視線を外した。その視線を追うと、あぁ、なんか見知った顔2つがこっちに突進してくるきがする……。
「学園の情報核〝掲示委員〟副長だからな」
遠藤はそう言って去っていった。かわりに、奴らはやってきた。
「えーんらーん!昨日は楽しかったねぇ!!」
「楽しかった」
「こっちは楽しくなかったけどね!!!」
双子の流雨と琉晴。
「にっこにっこだよー!」
「にこ。」
「意味不明……ていうかあんたたち、あの……その、昨日の」
昨日のこと話したでしょう、と言おうとして、しかしそれを言うなとはこちらも言ってなかったわけだし、そもそもなぜ力の所持を秘密にする必要があるのだ、と思い言い淀んでしまった。
「昨日の薫くんのことでしょっ?だーじょーぶ、一般生徒および委員部隊下部には伝わらないように、委員部隊上層部にだけ伝えたから!」
「伝えた」
「……あんたたちそういうところはしっかりしてんのよねぇ……」
にっこーと笑っている彼女は、となりで無表情の双子の姉を抱きしめながら褒められた!苑蘭に褒められた!!と喜んでいた。妹は相変わらず無表情だけれど「いえーい」と言っていた。
「じゃあ委員部隊隊長らが動き出しますかねぇ……」
「会議するってさ、今日の放課後。 マイリーダーが言ってた!」
そういえば、掲示委員隊長と会ったことない気がする。いやいやそれよりも。
「か、会議……?」
「そりぁそうでしょうねぇ、いまのところの〝例外〟が出たんだからさ!」
…………大層なことになってきたなぁ…。
というか今頃、薫は会長に怒られてるだろうなぁ。
とりあえず今日は何かに巻き込まれる心配はないかな、と思った。
結論から言うと、そんな考えとても甘々だったのだ。