【pattern4・笹葉心】


「せーんせ!ハッピーハロウィーン!」

ひらひらと白衣の裾が揺れているのを尻目に今日もかわりなく《雛翼》本部の廊下をてこてこと歩いていれば、聞きなれた声がしたからやっぱりね、なんてこころの声とともに立ち止まった。

「白雪はイベントに便乗してお菓子をたくさんもらおうって魂胆だろう?」
「わあさっすがせんせー、あったまいーい」

まんまるい朱い目がビー玉みたいに私をうつす。その無邪気な性格は評価できる。そのうしろにある虚無もふくめて。ノアがこの子を気にいるのも無理ない、ね。

「どれくらいもらったんだい?」
「えーっとね、たい焼きとキャラメルとラムネと、あとそのへんにいたおじさんおばさんとかからガムとかせんべいとか!」
「へえ。大量じゃないか」
「でしょー」

ふふん、と満足げに笑う白雪のその頭に飾られたとんがり帽子を背伸びしてひょいっ、と手に取る。「わあ、」とすこしぐしゃっと崩れた髪をおさえてなんだなんだとこちらを見つめる白雪にウインクしてみる。ポケットからハンカチをだしてひっくりかえした帽子にかぶせ、ワンツースリーの合図とともに、

「hallelujah ♪」

ぽんっ、とはじけるような音がして、ひらりと取り払ったハンカチのしたにたくさんのキャンディーの山。

「えっ、えっ、えーっ!すごおい!せんせー魔法使えるの?すっごーい」
「ふふ、ほらあげる」

たくさんキャンディーが詰まったとんがり帽子を渡す。頬を桜色に上気させた白雪はしばらくくるくる帽子を掲げて回っていたが、やがて満足したらしく、

「せんきゅーせんせ!」

大声で叫んで廊下を走っていった。

「ふふ、」

さてさて、今日もまた積み上がった書類をどうにかしましょうか。