融けのこりの角砂糖
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まるくかたどられた視界のなかで、白一色の衣装を着た人影たちが絶え間なくうごめいています。その視線は無機物のように冷ややかに、手前に横たわる影にのみ注がれていました。
真っ白い寝台には、誰かのからだが投げ出されたように横たわっています。その手足は青白く、まるでセラミックの人形のよう。人工的な光に照らされ、メスを刺しこまれるその姿は悪趣味な芸術品でした。
その空間には、音がありません。不気味なくらいしんと静まりかえり、誰も何も口にしません。広がる光景から連想される痛みをうったえる声すらなく、無音のまま。
くらくら、しました。
血が足りないような錯覚、眩暈を伴って訪れるのは暗転。ブレーカーを落としたようにぷつりと光景は途切れ、すぐさまスイッチを切り替えるようにして、目前が明るくなります。それのくりかえし。趣味の悪い映像に変化が訪れることはありません。終わることのない再演に既に意識は蚊帳の外へ投げられて、残っているのは惰性だけでした。うつろであいまいな自覚。怠惰は罪なのだと、いつかだれかが言っていた、ような、
(……だれかって、誰)
ふいにそんなことを思ったとたん、カシャン、と金属が床に落ちるような音、それとともに、夢は終わりを告げるのです。音は脳内を反響し、珈琲にミルクを混ぜたように景色には白い渦がまいて、それに巻きこまれながら、私は現実に回帰します。