痛みがふちどる肖像
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そこにはずっと過去から引きずったままの遺物たちがあふれていて、あふれでていて、だから未来を指し示す希望なんて、それを説く人間ごと追い出してしまうような空気感に満ちていました。過去の亡霊が大きな顔をしている囲われた世界において、そのひとは異物でしかありませんでした。
あの日、ゆらゆら振り子みたいに揺れたつま先を目にして、置き去りにされたのだと悟りました。異物は異物を生むと信じたひとたちは、石を投げる先を変えました。鎖で閉じられた世界では、いつだって犠牲が必要なのです。
──私たちを巻き込んだくせに。隣に立っていたあのひとは、そう罵りました。外側に救いを、光を求めていたくせに。あらがえなくなったとたんにすがるのはそちらの世界なのか、と。
私は。
私は、どうでしょう──怒りはありませんでした。あのひとのように罵る気力はどうしても湧いてこずに、ただ、あきらめに似た感情だけがありました。
もし今になって、なにか言うことが許されるなら……私が言いたいのはたったひとつ、私たちはきっと、あの地で死ぬべきだったということだけです。