【pattern1・玄鳥傘璃】


「とりっくおあとりーと!」

ぱこーん、と派手な音がして部屋の入り口がひらいたのでびっくりしてそちらをみると、(まあ予想はしていたのだけど)白雪ちゃんが満面の笑みで立っていた。へんな格好。服装はいつものブラウスにジャージ、けれども頭にはおおきな魔女のとんがり帽子をかぶり、胸元のリボンはオレンジ×ブラックのハロウィン仕様になっていた。

「……………」
「……………」

もきゅもきゅと手にしていたたい焼きを頬張り口に押し込んで、しばらく咀嚼したのちにこくりと呑み込む。さあてつぎはなににしようかな、うぐいす餡にしようかな、自分のデスクのうえに置かれた紙袋に指を伸ばす。あ、髪の毛伸びたな。そろそろ切ろう。

「傘璃ちゃーん?きいてるー?」
「はむっ……ふぁい?」

やっぱりたい焼きは腹からたべるのがよいとおもうのだ。餡がすぐでてくるし。尻尾も頭もおなじように食べ進められるし。ねえ。

「ごくん。…チョコとクリームなら残ってるけど、白雪ちゃん、どっちがいい?」
「チョコレート!」

即答だった。きらきらひとみに星屑散らせて白雪ちゃんは私の手からチョコのたい焼きをかっさらうと、ぱああと明るい顔になる。そういえばきょうはハロウィンだったっけ。覚えてなかった。どちらにせよ私がお菓子をたべる量は変わらないし。…あれ、そういやお馴染みのたい焼き屋さんにかぼちゃ味がでてた、ような。もしかしてこの袋のなかにはいってたりするのだろうか。いつもぜんぶの味をひとつずつ頼むから気にしてなかった。袋を見下ろしてみる。…うん、たのしみだ。

「やっぱり最初が傘璃ちゃんでよかった…!はじめが肝心だもんね、何事も!」
「今更だけど白雪ちゃん、なにしてるの?」
「ハロウィンに乗じてお菓子を強奪しようかと!」
「あ、やっぱり?」

笑顔で言い切った白雪ちゃんは輝いていた。