ここは透明な影の庭
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つながる先にあのひとがいるかどうか、私はいつも確かめました。立ち止まるあのひとに気づかれぬようそっと視線を持ちあげて、それが生きているのかどうか、確認するのです。その瞳は白濁していないか。肺は酸素を求めて動いているか。あたたかな血潮は、その身をめぐっているか。そんなことを目で確かめてようやく、私は自分も生きていることを知るのでした。私はぜろから生まれたわけじゃない。かの地に脈々と受け継がれ、託されていく生命のなかのひとつ。それが私たちといういきものでした。
結局のところ、自分もあのひとも同じでした。流血は繋がり、臓物のひとつひとつにいたるまで、私とあのひとに違いなんてない。私たちは途切れることをゆるされず、私たちが死に絶えるまでずっと、この心臓に刻まれた怨嗟の声は叫ばれるのを待っている。
私たちは、呪われているのです。だから私たちは祝福なんてものからずっとずっと遠い場所で、ひっそりと身をひそめて、死ぬまで生きていたはずだったのに。
ああ、どうして。どうしてでしょう。
あのとき目の前で倒れ伏したあのひとの瞳の色を、私は───思い出すことが、できないのです。