07
「っは!」
がばっと起き上がると、そこが治療室だとわかった。点滴されている腕をみて、そういやわたしぶっ刺されたんだ!と思い出す。
で、そのあとは?
「………き、記憶がない…っ」
「気絶だよ」
ふぁっとびっくりして隣を見ると、トキくんが窓に寄りかかって分厚い本を開いていた。
「き、きぜ……あれ、わたし傷は!?!」
布団をめくり服をめくろうとすると、なんとトキくんが分厚い本で殴ってきた。わあいたい。
「お腹あたりを深く刺されていた。治療は完璧。傷は残るらしいが」
「あぁ、そう……」
じんじんする頭をさすりながら、あたりを見回す。
「……トキくんもしかして心配してくれてた……?」
「ターゲット逃したことへの文句を言いに来ただけだ」
「やっぱり逃げたよねあの少女ごめんなさい!!」
なんという失態!いやでも、あの子ほんと強かったしね!どうしようもなくない!?トキくんは分厚い本をテーブルに置き、こちらを見た。
「上は、お前の報告待ちになってる。現場にいるお前の生命探知に異常が現れて、駆けつけた時にはターゲットはいなかったらしい。ターゲットは少女だったか」
「あ、そうなの?うん、少女だね、わたしと同じかそれより下……め、迷惑かけましたトキくん……」
「……いや、駆けつけたのは、」
トキくんが何故か口籠る。普段からあまり話さない、が、必要なことならば隅々まで端的になにも隠さずに話すトキくんが口籠るのは、めずら……ああ。
「なーくんか!」
好きな人の名前を口にできないなんて!!初々し過ぎるよトキくん!!
わぁ睨まれた。
「なーくんか、なるほど、あとでお礼を言っとく。トキくんもありがとね!」
「……お前が目を覚ましたら、報告するようボスに言われてる。俺はもう帰る」
はう。相変わらず冷たい……っ。
「……ん?じゃ、ボスさんがくるかもしれないの?」
「そうだろうな…………」
トキくんが、じぃ、とこちらを見てきた。……え、え、なに……??
「お前………、あそこでなに見てきた?」
「え?」
なんでそんな質問をするのだろうと思いながらも、わたしは迷わず答える。
「ターゲットにあって、戦ったんだよ。不死の少女」
「……………不死」
…あれ、馬鹿にするか殴られるかナイフ投げられるかされると思ったのに、トキくんは真剣な顔のままだ。
「……ト、トキくん…?」
「…不死に、会ったのか……」
「…トキくん、不死の存在知ってたの?!」
思わずベットから飛び出し、ずいっと顔を寄せる。トキくんは若干引くが、なにせ窓に寄りかかっていたので逃げ場がない。おかげでいつもより間近でトキくんの顔が拝めた。……あ、トキくん結構まつげ長、
「っう、」
思わずしゃがみこむ。なるほど、確かにそれなりの傷だったらしく、急に動くと痛む。
「馬鹿だろ、お前……」
「ぐっ……そ、それよりも、質問!」
「……随分前に、一度見たことがある。で、ボスから直接話を聞いた」
「ちょ、それ、わたし聞いてないよ!?!」
な、仲間はずれ……!?トキくんもなーくんもボスさんも知っていたなんて、それはもう完全なる仲間はずれだよっ!
「特殊なんだよ、不死は。むやみやたらに話すもんじゃない、とボスが言ってた」
「だ、だからってぇー……」
しゅん、と項垂れる。のろのろとベットに戻り、はぁ、とため息をつく。
「でも、結局はボスはお前に話した」
「そ、そっか!そう考えるともういまはみんなの共通の話題だもんね!仲間はずれじゃないもんね!」
目を細めて、トキくんは思いっきりこちらを睨む。……そ、そんなに……。
「そして、お前は不死にあった」
「…え、う、うん……」
トキくんは、指を唇にあて、考える仕草をする。目が、何故か鋭く光っている気がした。
口を開いて、トキくんが言う。
「タイミングが良すぎる」
頭に、ボスさんの阿呆らしい笑顔が浮かんだ。