05

「はーい、本日の仕事先はー、じゃじゃーん、これでーすー」
「しゃーやったるでーボスさーん」
意味もなくその場で回転してガッツポーズをして見せた。隣のトキくんガン無視。大丈夫いつも通り悲しくなんてないもんね!
「今回のターゲットはなにしちゃったひとかなっ」
「んー、とくにね、なにもしてはないんだけれども」
「え」
ほーら、とひらひら差し出された紙をぱしんっとかっさらい、羅列された文字を読む。……んにゃ、頭痛い。
「レウちゃん、文字読むのほんとに駄目だねぇ」
「貸せ」
呆れたトキくんが資料を奪って、1人読み始めた。
「なになに、なんて書いてあるのートキくーん」
「…………」
トキくんは顔をしかめるだけで、なんも言わない。え、それはちょっとひどくないですか?わたしパートナーだよっ?
「まぁ、簡単に言うとね、」
ボスさんが窓の外を眺めながら言う。漆黒空間。幾つも世界が存在する無限空間。
「生命体がいない世界に、1人、人がいるのが確認されたってことだよ。」

シグナルの基準は不明だ。あ、シグナルてのは、裁判所と同じく世界機関であり、世界単位の問題を扱っている機関のことね。つまり世界救ったりぶっ壊したりしてるてこと。生命体が沢山いるのにも関わらず、その世界は〝駄目〟だと言って破壊したり、生命体が一切いない、なんならただの荒地でしかない世界なのに〝良〟といって手は出さなかったり。ほんと意味不明の機関である。
「うっしゃー!探すよ唯一の人間ー!」
「黙れ」
ばしこんっと叩かれた。ちょういたいお。
「用心しろ。危険人物だ」
「知ってるー!いままでにないイレギュラーだしね。生命体が存在しうる条件を全て満たしてない、この世界にいられるってことは相当なツワモノだね!」
「……」
自然だけが豊かなこの世界。自然っても、見たことないものだらけだね!空気なしでも存在できる植物あったんだなーとしみじみ思う。
「でもさー、なんか、こんな重大っぽいやつ、なーくんとかボスさん担当だよねーいつも」
「……ああ」
おおう、珍しい。トキくんがうなづいた。わたしの言葉にうなづいた…!!!
「ふへへへへへへへへ」
「…」
ばっしこーんと叩かれた。ちょういたいお。
「でもさ、」
叩かれたくらいではめげないレウは、ぴょんっと跳ねて、辺りを見渡すのだよ!
「こーんなひろいなかで、たとえ一人だからといって、どう見つけろってゆーのさ!気配云々でも範囲広すぎっ」
「……二手に分かれるか」
「えええっせっかくトキくんとの共同作業なのにぃ!」
わたしの嘆きは虚しくもトキくんに無視されて、手振りであっちいけと命令された。……む、むしでも話しかけられなくてもめげないもん…!
こうしてわたしはトキくんとわかれましたのさ、ちゃんちゃん。
で。
「どこにいるんだ生命体ー!!」
空気がない世界でも、わたしたちは声を発することができるのだ!仕組みは知らんが。そもそも空気のない世界って音がないってこと自体、さっき初めて知った!
「つまんなあああい!」
とっとと生命体確保してトキくんに構ってもらってそのあとなーくんのごはんを食べたいなぁ。そんな風にぼんやりと真っ黒な空を眺めていた。決して現実逃避では無いんだよっ。

「、と!」

指を動かし、糸を操る。そこらじゅうに張られた糸を通じて、わたしは〝それ〟を捕らえる。
「なめてもらっちゃあ困るんだね!わたし、気配察知は意外といけるんだよ!」
引っかかったものに向けて、言葉を放つ。
ー生命体、かくー…………ほ、
心の中の言葉が、停止した。
それは、まるできらきらとひかる星のような。

白髪の少女は、目を閉じたまま糸に巻きつかれていた。