01

世界は絶望的だ。
ありとあらゆるところで戦争が起こり、人と人との衝突が絶えない。人とは一つ一つが全く性質が異なるにも群れでの生活を余儀なくされる。そこで衝突が起きないほうがおかしいやらなんやら。

風に吹かれてバッサバッサと揺れるコートが結構邪魔だった。塔の上にて直立不動2時間経過。わけわかめ。
「ちょーーーーーとーーーーー」
「煩い」
「ひーーーまーーーーーー」
「黙れ」
「ひーまひまひまひーーーーーまーーーーーーー」
「埋れ」
隣のトキくんはいつもの仏頂面でこの2時間視線を一度も反らしていない。恐ろしいよトキくんこわいよ。
「トキくーーん、監視つまんない、これ絶対なんもイベントない、暇」
「黙れ」
「てかトキくん、なんでこれ耐えられんのーー、ずっと一点見てるだけだよーー、あ、あれかな、ストーカーの慣れ?」
「殺す」
こっちを見ないで短剣をさっと飛ばして、それを避けたわたしは危うく落ちそうになった。
「ト、トキくん!本当のことを言ってなにが悪いんだい!」
「殺る」
「ごめんなさい」
でもでも事実なのだよトキくんがストーカーさんなのは。片思い歴十数年間!想い続けるっていいことだよね!ついでに相手はそのことを全くもって知っているらしいよ。面白いからとか言って知らないふりをしてるんだよ。面白いよね。さらにぶっちゃけるとーーびゅん。
「ごめんなさい」
短剣2本目。
「きた」
「え、やった暇じゃなくなるわーい」
視線の先には、確かに人々が動き出していた。
「今回の件はなんだっけ?」
「見ろ」
「トキくん、さっきから2文字の単語しか話してないよ?面白いからあと2日はそれ続けて」
「この世界では存在しないはずのドラゴンを匿ってる奴らの状況確認また場合によっては処分」
「トキくん……」
ま、いっか、これから面白いし。

「んじゃま、いっきましょー!」
「煩い」
バサッとコートを揺らして、塔から飛び降りる。急に空から現れた人に、人々は狼狽えながらも武器を構える。そんな人々に、わたしは楽しく高らかに言ってやるのだ。

「世界機関、裁判所メンバーNo.4、レウけんざーん!これよりぃ、」
「裁判を開始する」

空間を暗い闇が包み込み、いつのまにか、そこは法廷となり得る。わたしはこの瞬間がとても好き。キラキラ輝くシャンデリアだけの明かりが、法廷におとされる。広い空間に、わたしと仲間と裁かれる人。とっても好き。

さてでは、楽しく仕事を始めよう!


【裁判所】
世界機関の一つ。世界のありとあらゆることを裁く。